・ｼﾅﾘｵ：☆☆☆☆

笑い　　：☆☆☆☆☆
ほのぼの：☆☆☆☆
不思議　：☆☆☆

・挿絵：☆☆☆

・総評：84点

・その他の文庫
・作者：田中ロミオ

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我らが田中ロミオの作家デビュー作。この名前を知らない方は…、ググらない事をご本人が希望しているのでここは是非ググッておきましょう。

女性視点で進行。いつもとは勝手が違うが、そこは業界有数の巧者、読者に違和感を抱かせる事無く軽快に筆を進めている。

「軽快さ」について続けると、少なくともこの巻においては氏の「陽」の部分が凝縮された構成になっており、いつものハイブロウなギャグがドッカンドッカン炸裂している。余談だが、公共の交通機関等でお読みになるのは遠慮されたほうがよろしかろう。公衆の面前で吹き出して恥をかくのは筆者だけでよい。

上記のような構成故、氏が「C†C」や「最果てのイマ」等で追究しておられるテーマについては、この作品においては今のところ言及は保留となっている。しかし、作品の性質上この先の展開は如何様にも変転させる事が可能かと思われるので、良い意味で油断はできぬ、といったところか。

最後に…難点を上げるなら、楽しさや笑いに偏重し過ぎているきらいがないとは言えない点か。楽しい状況の中にも漂う重苦しさや閉塞感がもう少しストレートに表現されていればモアベターだったと愚考する。ともあれ続刊に期待。