・ｼﾅﾘｵ：☆☆☆

萌え　　：☆☆☆☆
笑い　　：☆☆☆
不思議　：☆☆☆

・挿絵：☆☆☆

・総評：80点

・角川ｽﾆｰｶｰ文庫
・作者：谷川流

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短編、中編、長編が混在している連作。アニメの好評具合はご周知の通り。

根幹のネタは古典ＳＦのセオリーとも呼べるものなので新鮮味は無いし、個々の事件も正直出来の良い構成とは言えない。ある一つの要素に頼りきった展開も読み進めるにつれ食傷気味になる。

故に評価に値するのは、寧ろ物語自体よりその文体とキャラ造形になるだろうか。

文体に関して述べるなら、軽妙でも洒脱でもないが非常に的を得た表現と多彩な語彙でひたすら「ボヤく」という、これまでに存在しないタイプのモノ、と言ったところか。諸手を挙げて肯定する事はできないが、大変魅力的な要素であることは確か。

キャラ造形については、ある意味「あざとさ」を徹底する事で逆に潔さを感じさせる点が面白い。中途半端に読者に媚びる状況の作品が多い中で、「徹底する」事がどれだけの武器に成り得るか知らしめたと言っても過言ではない。

以上の２つの要素が巧く化合して、登場人物にとっても読者にとっても非常に居心地の良い雰囲気が創造されたという事が、本作最大の魅力ではなかろうか。

前述のストーリー上の問題が是正されれば、更に高みを目指す事が出来るハズ。今後に期待したい。