・ｼﾅﾘｵ：☆☆☆☆☆

感動(泣)：☆☆☆☆☆
怖い　　：☆☆☆
不思議　：☆☆☆☆

・作画：☆☆☆☆
・音楽：☆☆☆☆☆

・総評：95点

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97年に放送されたTV版のレビューになります。


基本的には一話完結方式の化け物退治のお話だが、特筆すべき点は化け物に魅入られた人間の哀しい運命の彷徨に尽きるだろう。

とにかく、客観的な救いというものは微塵もない。どこかしら大切なモノを亡くしている人間達が魔物に魅入られ一時のユメを見るが、魔物の消滅とともに今度こそ本当に全てを亡くして絶望する様は落涙を禁じ得ない。そんな哀れな人間に主人公美夕は永遠のユメを与える。ずっと幸せな時に留まっていられるように。人間達は廃人となって自らの理想郷に遊ぶ。あまりにも滑稽、あまりにも無残、しかしそれ故に美しい。

私見だが、救いが無いが故の物語の美しさ、というものは確固として存在すると思う。明朗なハッピーエンドも良し、現実へ帰れと声高に叫ぶも良し。だが、破滅へ向かうが故の情念、切なさに惹かれる人間にとって、この作品はまさに極北に在ると言って良いだろう。

その流れは最終話に結実する。こんな話があって良いのかと思いつつも、その破滅の美しさに魅入られてやまない。なんたる矛盾、なんたる切なさ。

最後に…何か感じるところがあった方は是非ご覧下さい。損は絶対にございませんので。