ｷﾞｬﾙｹﾞｰﾚﾋﾞｭｰBBS

$OHD.C.P.S.

発売:CIRCUS / 角川書店
$Q#あとりさん
投稿:2014年4月25日

$G^総評 64点$G^

$Ehｼﾅﾘｵ：☆☆
$OGＨ度：－
$ENGAME：☆☆
$O*音楽：☆☆☆☆☆
$Q"ＣＧ：☆☆
$OQ難度：☆☆☆

感想-COMMENT-

※『D.C.I&II P.S.P. ～ダ・カーポI&II～プラスシチュエーションポータブル』より。

■あらすじ
一年中枯れない桜が咲き乱れる初音島。
そんな不思議な島に、何もないところから和菓子を生み出す力と、他人の見た夢を見てしまう――平凡とは程遠く非凡にも程遠い、２つのメルヘンな力を持つ少年がいた。

口うるさいくせに甘えん坊な義妹や、６年前と変わらぬ幼い姿で再会した幼馴染みなど、ちょっとこそばゆいくらいが丁度よい、恋物語のはじまりはじまり。

■シナリオ
『D.C. ～ダ・カーポ～』シリーズと言えば、続編もアニメ化していたりとても有名な作品。
アニメは未視聴だけれど有名な作品なこと、枯れない桜というロマンチックな世界観から、
シナリオに期待して購入したのだけど……。

期待しすぎたかな。別に普通の作品だった。
と言うか……ちゃんとは楽しめなかったな。

●共通
共通は、

朝、セットした目覚ましの時間によって違うイベント
↓
共通シナリオ
↓
マップでヒロインを選択→そのヒロインのイベント（昼休み）
↓
共通シナリオ
↓
マップでヒロインを選択→そのヒロインのイベント（放課後）
↓
目覚ましセット

という流れの繰り返し。

なのだけど共通シナリオが短く、八割がヒロイン個別イベントで構成されているのであまり共通感がない。
イベントは豊富で内容は悪くないのだけれど、笑えると言う訳ではなく、非常に淡々と進むので、妙な作業感を感じる。

以下、個別の感想を攻略順に。

●和泉子
その見た目のインパクトから、真っ先に選んだ和泉子。
う～ん……序盤と中盤は普通、終盤が微妙だったかな。
約束したのにまた急にいなくなるのは理解し難かった。
ぶっちゃけ和泉子は素顔より、着ぐるみ姿の方がかわいいと思う。

●アリス
明らかに物語の本筋に関わっていないヒロインなので、全く期待していなかったのだけど、思いの外面白かった。
告白シーンは唐突に感じたけれど、言葉は悪くないし、告白シーン以降のアリスは可愛くラストも爽やかで良い。

●ななこ
話は普通……だけれどななこの見た目が受け付けない。

●環
お話も環自身もぼちぼち。
環は初登場時のインパクトが強かったので、少し期待していたのだけど、まあ……こんなものかな。
貶している訳ではなくて。

●萌
良い話になり損ねたな、と言う印象。
亡くなった幼馴染みに、夢の中でだけ会えるからと睡眠薬を飲んでまで眠っていたのに、主人公に一回「現実を見ろ」と言われただけであっさり納得してその件についてはもう終わり。

エピローグの主人公の「無理に忘れなくていい」という言葉から、萌先輩は納得はしたけれどまだ引きずっている状態だと思うのだけれど、
それを乗り越えてちゃんと吹っ切れるまでの描写があったら良い話になれたと思う。もう一山欲しかった。

萌先輩が主人公を好きな理由が分からないのもね。
よくある「この子いつの間に主人公のことを好きになったの？」という感じの分からないではなく、「本当に好きなの？」という感じの分からなさ。
感情の起伏が感じられない、萌先輩の考えていることが分からない。
主人公を好きだと言ったのは亡くなった幼馴染みと重なったからで、本当の気持ちではないのに、主人公とキス等をしていたと考えると……。
何だかなあ……と思うよね。

●眞子
この話ももう少し詳しく描いてほしかった。
眞子が後輩の女子に告白されて困っており、主人公と恋人のふりをして諦めて貰おう！　と言う話なのだけど、
その後輩の女子が一度も出て来ない。ちまちまと手紙を送ってくるだけ。
なので「そういう子がいる」とは思えても、まずい状況だとは思えない。

ラストは後輩は眞子のことを諦めて、恋人ごっこではなく本当の恋人になるという展開なのだけど、
後輩はあっさり諦めるし、主人公から告白するから、「後輩のことを利用して主人公が告白して来るように眞子が仕向けたんじゃないの？」と思ってしまう。

●ことり
このお話は面白かった。
まあ、ことりの過去とか素顔とかの描写はかなりあっさりめな気がするけれど、結婚式でことりの歌を聞いて泣く暦先生は良かったし、
ことりが可愛かったので、それだけで他はもうどうでもいい。

●叶
悪くはないのだけどね……叶は工藤君のままで良かったかな。
パッと見で予想出来てはいたけれど、実は女の子とかそういう設定がまず要らなかった。
本当の叶より、普通の友人キャラクターの工藤君の方が好き。

●音夢
物語の本筋に関わる音夢のお話。
なのだけど……う～ん？　よく分からなかった。
今何が起きているのか、は分かるのだけどどうしてそんなことになったのか、が最後まで理解出来ずに終わってしまった。

●さくら
物語の本筋であるさくらのお話。
このお話も音夢のお話と一緒で、枯れない桜はさくらが作ったものとか、そういうのは理解出来たけれど、
どうしてそんなことが出来たか、構造の原理と言うかそういう大事な部分が終わるまで理解出来なかった。
まあ、あまり考えなくてもいいことなのかもしれないけれど。

●香澄
とても短い、完全なるおまけ。
お話自体は、展開は読めてしまうけれど、まあ普通。
でもこのお話、この作品に……要る？

●頼子
良かった。
頼子さんとの同棲生活にはニヤニヤ出来るし、終盤の展開もベタだけれどなかなか。

●美春
お気に入りヒロインなので最後に回した美春。
悪くもないが求めていたものと違うかな……。
ラストは良いのだけど、手放しに良かったとも言えない。

●D.C.
全ヒロイン攻略後に解放される凄く短いお話。
多分この作品の根本の部分に触れていると思うのだけど、そもそも音夢編・さくら編がイマイチ理解出来ていないのにこのお話が、理解出来る訳もなく……。

■シナリオ（総評）
楽しめたお話もちょいちょいあるのだけれど、物語の根幹である音夢編・さくら編がイマイチ理解が出来なかったので、素直に楽しめたとは言えないと思うのが正直なところ。
期待以上だったとはとても言えないけれども、期待外れだったと切り捨てる程つまらなくもなかった。
う～ん、どうとも言えない。

■キャラクター
攻略可能ヒロインは13人。
多い割に一人一人ちゃんと差別化出来ているのはいいけれど、全体的にあっさりめで魅力は薄いかも。
さくら・ことり・美春は割と好きだけれどこの作品の中で選ぶなら、と言う前置きを要する程度だし。

ヒロインより杉並が良かった。
この作品で一番好きなキャラクターは杉並です。

■Ｈ度
皆無。

■GAME
インストールない割には動作の軽さやロードの長さはぼちぼちだけれど、画面が切り替わる際にいちいち「Loading Now……」の文字が出るので、やたらロードが長く＆多く感じるのは良くない。

コンフィグはぼちぼち。
オートモードの速度が変更出来ないのは不便だけれど、システムボイスあるので良いかな。
ただバックログが一気に見れない上に、場面が変わると読めなくなるのは許せないけれど。
スクショはあるけどCGのみなのが……、立ち絵や背景も撮らせんかい。

あと名前変更があるのだけど、名前のみで名字は固定なので、ヒロインが主人公の名前を呼ばず不自然。これは要らなかったな。

■音楽
●BGM
曲数は全29曲。
もっとあると思ったのだけど、思いの外少なかった。
全体的な質は高く、「桜並木の下で」「懐かしい夢」「Lovable pup（オルゴールver）」「瞳の奥には…」「また、会える…よね？」などがお気に入り。

●ボーカル曲
・OP
「ダ・カーポ～第2ボタンの誓い～」 / yozuca*

・ED
「Dream ～The other side～」 / yozuca*

・ED2
「Dream ～The ally of～」 / rino

・挿入歌
「Small Cherry ～promised bell～」 / rino

・挿入歌2
「Eternal love ～眩しい季節～」 / rino

・挿入歌3
「未来地図」 / yozuca*

・挿入歌4
「そよかぜのハーモニー」 / 堀江由衣

質・量共に良い。
特に「Dream ～The ally of～」がすごく好き。
ちなみにOPはフルアニメーションで作画も良い。

■声優
野川さくら　田村ゆかり　堀江由衣
伊月ゆい　松岡由貴　神田朱未　松来未祐
萩原えみこ　浅野真澄　黒河奈美　桑谷夏子　
沢城みゆき　かかずゆみ　岸尾だいすけ
桃井はるこ　松井菜桜子　福圓美里
白石涼子　服部加奈子　小野未喜　宗矢樹頼

豪華声優陣。特に堀江由衣氏と神田朱未氏と桑谷夏子氏が良い。
ただ野川さくら氏の声が安定していないのが気になったけれど。

■CG
絵師は七尾奈留氏、秋蕎麦氏、影崎由那氏、かゆらゆか氏、蜜桃まむ氏、たにはらなつき氏、igui氏。
数が多いのでばらつきがあり、絵も流石に古臭い。

CGの枚数は全122枚。
ヒロインの数に対してこの枚数は少ない。
立ち絵は差分が少なく演出も物足りない。
まあ、古い作品だから仕方ないけれども。

■難度
マップ選択と普通の選択肢があるけれど難しくはないので、特に。
攻略縛りが色々あり、美春が音夢・さくらの後とかはいいのだけど、全ヒロインを攻略しないと最後のD.C.シナリオが解放されないのは……。
正直全員攻略するのは結構骨が折れるので、音夢・さくら・ことりの後とかにした方が良かったと思う。

■総評
プラスシチュエーションのプラス部分が不要。
無駄が多く、中弛みと作業感をかなり感じる。
それを差し引いても……う～ん、私には合わなかったかな。

★ネタバレ