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向日葵の教会と長い夏休み -extra vacation- けろ枕 (ひまわりのきょうかいとながいなつやすみ えくすとらばけーしょん) あとりさん [2014年7月30日]

・シナリオ:☆☆☆☆☆
・H度:☆☆☆
・GAME:☆☆☆
・音楽:☆☆☆☆☆
・CG:☆☆☆☆
・難度:☆☆☆

・総評:85点



■あらすじ
変わらないものがある。
変わっていくものがある。
それでも……帰りたくなる場所がある。

━━雲間に隠れていた太陽が姿を見せると、夏が覆いかぶさってきた。
明日葉陽介は、8年ぶりに帰ってきた。
彼の人生で恐らく最も重要な日々を過ごしたであろうその場所に。
地に咲く太陽をほこらしげに立つ小さな建物・朧白教会、あるいは向日葵の教会に。

「よ━━くんっっ!!!!」
「ほんとに、本当によーくん!?」
「ああ、ただいま」

8年前と変わらずに彼を迎えてくれる少女・詠
会いに来る少女・金剛石
待っていた少女・ルカ
そして、新しく出会う少女、ヒナ。

取り壊されてしまう教会を前に、ボロボロになっていた思い出の場所を再生していく、ノスタルジックな海辺の教会を舞台にした、
明るく爽やかで、しかし切ない、ひと夏の物語━━。


■シナリオ
夏。
田舎。
教会。
向日葵。

この四つから容易に想像出来る至高の雰囲気。
そして、雰囲気に負けない完成度のシナリオ。
いやー、とても良かった。


●共通
共通というかプロローグと言った方がいい気がする。
共通はまあ、普通なのだけど、ゆったりした穏やかな雰囲気とお話、優しい音楽が作用して眠気が……。

オープニング曲が流れないなと思っていたら、共通の終わり、個別に入る前に流れた。
初めて見たけどなかなか良い演出、分かりやすいし。

●金剛石
お嬢様ヒロインと言うことで身分の違いとか、母親との和解とかベタなお話。
展開は読めるけれどまあなかなか。金剛石の母親・瑠璃子さんがどんどん柔らかくなっていくのがよかった。
瑠璃子さんかわいいよ瑠璃子さん。あ、金剛石も。

●ルカ
まあ、このお話も、良いのだけど、悪戯をしかけてきた犯人の存在が少し唐突というか、えっ? と思った。

全て終えてからに考えたらこの『ひまなつ』、不思議なことがいっぱいなファンタジー作品なのだけど、
このルカ編までに読んだ共通と金剛石編では不思議なことは特に何も起こっていなかった(全て終えた今なら色々と分かるけれど、この時点では分からなかった)ので、驚いた。

●月子
朧白大好きっ娘ということで、村起こしがメインの一番平和なお話。
平和で和むし良いのだけれど、学生がメインになって村の復興活動をしていたら色々と問題にぶつかるはずなのに、何一つと問題は起こらず、
落とすところと言えば、月子ちゃんが金剛石・ルカの陽介への想いを知っているから自分が陽介に想いを伝えるか悩むシーンのみなのが……。

本当に何一つ問題にぶつからなかったのが何か違和感? というか、上手く行きすぎでしょうと。
平和で結構だけれどサ。

●詠
詠の正体は共通から何となく気が付いていたし、詠の過去だってどこかで見たことのあるようなお話。
けど泣いちゃった。駄目だ、こういうのは弱い。

●雛桜
雛桜編は二部構成。
共通から入れるヒナ編が終わると、スタートから長い夏休みという、雛桜編に入れる。

ヤバかった。ずっと泣いてた……。
別に常に号泣してた訳ではなくて、ちょっとしたことでもウルッと来てしまう。
元々家族ネタには弱いのに加えて、長い夏休みまで、共通や他個別ではずっとヒナは子供だったから、
ヒナ成長したな、大人になったな、良い子だなって、すごい思う。
それだけでウルッとくるし、猫の存在も大きかった。
もう本当に良かった。


■シナリオ(総評)
金剛石編とか評判あまり良くないみたいだけれど、実際、全然悪くはないと思った。
本当に雛桜編が良すぎて他が弱く見えるってだけ。雛桜編が本当に素晴らしかった。


■キャラクター 
キャラクターは、まあ、普通。
金剛石と雛桜は好きだけれど、他は別に……。
主人公は結構良い男だと思う。


■H度
なくはないけどあるとも言えない。
修正に関しては及第点かなレベル。


■GAME
フォント変更可、選択肢ジャンプがあるので分岐点でセーブをしなくとも周回プレイが楽、モードパネルがある、次の音声再生まで音声を継続する機能があるなど、良い点も多いけれど、

なんか全体的に動作が重いというかモッサリしていて、オートモードだとスムーズに進むけれど自分でボタンを押して文字送りするとモッサリ感が気になるなどの悪い点も目立つ。
もう少しレスポンスが軽かったらよかったのだけれど。


■音楽
●BGM
全33曲。穏やかでゆったりした曲調のものが多く、質はなかなか。
「それは、ささやかな━━希望(あした)」「希望の前で待ち合わせ -Orgel-」「陽ざしと笑顔」がお気に入り。

●ボーカル曲
≪はな≫
・OP
「ヒマワリの教会」

・詠編ED
「希望の前で待ち合わせ」

・雛桜編ED
「さくらとことり」

・ルカ編ED
「コトバラ」

・金剛石編ED
「キスキラリ」

≪今井麻美≫
・月子編ED
「夏色Sunshine flower」

「ヒマワリの教会」がめちゃめちゃ良い。イントロでもうテンション上がる。他は特に印象には残っていないかな。


■声優
夏野こおり 雪都さお梨 かわしまりの
如月葵 羽鳥空 楠鈴音 寒上優斗

雪都さお梨氏がとても良い。
子供ヒナも大人ヒナもきちんとかわいく演じていて、初めて当たったけれどファンになった。大人ヒナの声は少しりんごりんに似てる気がする。
あとこおちゃんがメインヒロインなのでそれで満足。


■CG
絵師は狗神煌氏、基4%氏、硯氏、高苗京鈴氏、籠目氏。
複数絵師なのでバラつきはあるけれど全体的に質は高い。

CGは全77枚。
ヒロイン一人につき絵師が一人なので枚数は頑張ってほしかった。
金剛石のCGが異様に少ない、ルカのCGがほぼ真横に描かれていて見辛い。
立ち絵はどのヒロインも顔がえらい小さく見えることと、スカートがすごく風になびいていることが気になるけれど、まあ、良し。


■難度
選択肢スキップあるし簡単。
と言いたいけれど金剛石編に入ろうとして、選択肢を一つ間違えたらルカ編に入ってしまった辺り、フラグ管理は割とシビアなのかもしれない。

オススメ攻略順は【金剛石→ルカ→詠→月子→雛桜】。
月子ちゃんが詠の後なのは強いて言うならレベルなのでどこでもいいけれど、【詠→雛桜】は絶対。


■総評
雛桜編は今年入ってプレイした作品の中で一番良かった。
親子・家族・成長などの要素が好きな人には是非プレイしてほしい。
雛桜編が抜きん出てるけれど他個別もなかなか面白くて、全体的にシナリオはよく出来ているし、
絵もかわいいので夏休みに暇ならオススメ。

★ネタバレ(↓に白文字で書かれています)
詠って何というかすごく優しいけれど損な性格と言うか、自己犠牲的と言うか。
雛桜編は、当然雛桜の成長などもいいけど、詠の存在も本当に大きかったなあ。

ところでこおちゃんって声だけで期待値が上がることもあって、演じているヒロインを好きになることがあまりないというか……何故かCVこおちゃんのヒロインって「声はいいのに性格が……」的な子が多いのだけど(まあ三田村茜という最強のヒロインがいるけども)
詠は良いこおちゃんでよかった。

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