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Fate/EXTRA TYPE-MOON / マーベラスAQL (ふぇいとえくすとら) あとりさん [2014年1月28日]

・シナリオ:☆☆
・H度:☆☆☆
・GAME:☆☆☆☆
・音楽:☆☆☆
・CG:☆☆☆
・難度:☆☆☆☆

・総評:78点



■あらすじ
月で発見された、太陽系最古の物体。
ムーンセル・オートマトン
それは量子コンピュータを魔術的概念で実現させた、神の自動書記装置。

魔術師たちはこうも呼んだ。
あらゆる人類、あらゆる人間の願いを叶えるに足る、万能の記憶装置。
この世の全てを説き明かす最後の奇跡――七天の聖杯と。

旧き魔術は失われた。
いま神秘を成すものは、魂を量子化する魔術師たち。

騎士  セイバー
槍兵  ランサー
弓兵  アーチャー
騎兵  ライダー
魔術師 キャスター
暗殺者 アサシン
狂戦士 バーサーカー

今ここに与えられしは、主人に仕える従者
敵を貫く槍にして、牙を阻む盾。

いかなる時代、
いかなる歳月が流れようと、
戦いによって頂点を決するは人の原理。

月に招かれた量子虚構世界の魔術師たちよ。
魂の戦火を以て、我々の真価を示せ。

――――是非を問う。
その繁栄に、果たして、千年の価値はありや。


■シナリオ
大勢の熱狂的なファンを持つTYPE-MOONの代表作、『Fate/stay night』の派生作品。
当初は『F/SN』を購入する予定だったけれどもPS2版とPS Vita版のみでPSP版はなく、
よく知らなかったけれど、購入。

原作が普通のノベルゲームなのに対し、今作は対戦型ダンジョンRPG。
RPGはよく知らないけれどシナリオはどうなの? と思いつつプレイ。

結論……「普通」。

いや、悪くはない。
悪くないけれども。

シナリオは記憶喪失の主人公が、記憶を取り戻す為に契約したサーヴァントと聖杯戦争を勝ち抜いていく。
勝ち上がっていくうちに記憶を取り戻していくと言うものなのだけど……これは、そんなに面白くはない。

と言うかテキストが読みにくい。
普通なら簡単に分かることでも、わざと分かりにくくしているような、
いちいち小難しい単語や言い回しを選んでカッコをつけているような、
そんな中二的なテキストなので、今一馴染めず、エンディングを迎えても「……ええっと?」と言う感じ。
まあ、シナリオをあまり理解出来なかったのは、私の頭脳的な問題もあるとは思うのだケドも……う〜ん。

純粋なお話の面白さを除いても残念な点がある。

・サーヴァントが三人いるので、少なくとも三周は確実なのに、違いが殆どないので三周目ともなると流石に飽きる。
・主人公の性別を選べるけれど、男主人公を選ぶことを前提として書いたのか、女主人公だと不自然なシーンが多数。

等々。
まあ、前者は二周目からは会話部分は飛ばすし、後者はギャルゲー(なのか?)だから仕方ないと言えば仕方ないけれど。


■GAME
●ゲームシステム
聖杯戦争はトーナメント方式で、一週間ごとに巡って来る決戦日に備えて与えられた六日間の猶予期間に、準備を進める。

・アリーナに潜る
猶予期間中に暗号鍵を集めなくては決戦場に行けない為、暗号鍵を目指してアリーナへ行く。
そこでエネミーと戦って経験値を稼いだりアイテムを入手したり対戦相手と衝突したりする。

・情報マトリクスを集める
対戦相手のサーヴァントの情報を集めると、決戦での戦いが優位になる。集められない場合は一周目はかなりキツい。

・魂の改竄
マスターのレベルアップ時に取得するスキルポイントを消費して、サーヴァントの能力を自由に強化出来る。
スキルポイントの累計が一定値を達するとサーヴァントがバトル中に使用する特殊な“スキル”を習得する。

・マイルーム
ストーリーが進行すると、自室として使用出来る部屋が与えられ、サーヴァントと色々と話したり、決戦日にそれまでに入手した対戦相手の情報を整理したりする。
タイガークエストに成功するとアイテムが貰え、部屋の装飾がどんどん豪華になっていく。

基本はこの四つの繰り返しで、決勝戦まで進む。
ちなみに二周目以降のアイテムの引き継ぎあり。

バトルのシステムは言うなら先読みジャンケン。
攻撃の【ATTACK】、防御の【GUARD】、大振りな攻撃の【BREAK】。
これらは三竦みの関係になっていて六回分先行入力するコマンドバトル。
また三つのコマンド全てに対して強い特殊な【SKILL】と【宝具】があり、これらを組み合わせて相手を倒す。

またサーヴァントが行動する六コマンドの間にマスターは一度だけアイテムかコードキャストを使用出来る。
コードキャストとは相手にダメージを与えるものや攻撃を阻害するもの、サーヴァントを補助するもの等々。

コマンドバトルなんて初めてだったのだけれど、これがかなり面白い。
強いエネミー相手とか対サーヴァント戦の緊張感がなかなか癖になる。
三人のサーヴァントで育成も戦闘スタイルも異なるし、アリーナでの経験値稼ぎはハマる人はとことんやり込めるだろう。

ただ二周目以降はエネミーのコマンドが開放されてしまうので考える必要がなくなってしまうし、
アリーナ内でセーブが出来ずゲームオーバーとなるとまた最初からなのが結構キツいのだけれど。

でも面白かったです、はい。
最近ノベルタイプのゲームしかやっていなかったので、新鮮と言うか、
たまにはこういうゲーム性のある作品も悪くないなと、素直に思った。

ただね……

 プロローグ
   ↓
  一回戦
   ↓
  二回戦
   ↓
  三回戦
   ┃
  ┏━┓
四回戦 四回戦
(凛) (ラニ)
 ↓   ↓
五回戦 五回戦
(凛) (ラニ)
 ↓   ↓
六回戦 六回戦
(凛) (ラニ)
 ↓   ↓
七回戦 七回戦
(凛) (ラニ)

と言う分岐なので、サーヴァントごとの回収が凄く面倒臭かった……。

●コンフィグ
設定出来るのはメッセージスピード、イベントボイスの有無、音量の変更、アリーナのカメラの操作のみ。
ノベルゲームばかりしているので不便に感じるけれどノベルタイプ以外のゲームだとこんなものなのかね。
でもオートモードは欲しいなあ。フルボイスではないから要らないだろうと言う考えだと思うけれど……。

あと鑑賞モードがない。
音楽は鑑賞したかった。


■キャラクター
選べるサーヴァントは三人。

・セイバー
基本能力が高く非常に安定感のある性能。
レベルを上げて物理で殴ればいいので育成は簡単。
スキルも多彩だけれどアーチャーやキャス狐の後にやると防御スキルがないのが不安に思える。
正直スキルより通常攻撃の方が強い。初心者向け。

初心者向けで育てやすいとか性能とかを抜いても私はセイバーが一番好き。
主人公が少し危なかっしい性格なこともあり頼りがいが半端ない正に皇帝。
意外とやきもちやきだったり大胆に愛でてくれるところも凄く可愛かった。
男でも女でも! な性格の為、女主人公でも違和感が少ないのもポイント。

・アーチャー
極めて平均的な性能で堅実に戦うタイプ。
魔力が伸びやすいのに魔力スキルがないと言う。
セイバー以上に筋力重視で育てる必要があるけれどセイバーと違い筋力が伸びにくく、
中級者向けと言われつつも上級者向けのキャス狐より育てにくい難しいサーヴァント。

と言うか本家の彼。
アーチャーは公式で女主人公を推奨されているようなので女主人公でプレイしたら乙女ゲームをプレイしている気分に……
育てにくいけれどスキル・宝具の演出は格好いい。あと本家をプレイ済みの方なら凛・ランサー戦はかなり楽しいと思う。

・キャスター
魔力・敏捷・幸運が伸びやすいが筋力・耐久が伸びにくいピーキーな性能の腹黒愛妻狐。
通常攻撃の威力が低い為、スキル主体となるが前半はその紙装甲のせいでやられやすく、
スキルが出揃う後半に真価を発揮する大器晩成型。

前半は雑魚エネミーにさえ苦戦するもののスキルが揃えば無双出来るので後半は楽しい。
腹黒属性は好きじゃないのだけどキャス狐は尽くしてくれるしもふもふしてて愛らしい。
キャス狐は女主人公も容赦なくイケメン呼ばわりなので違和感はあるものの態度は殆ど違わないのでいい。
アーチャーは違いすぎて笑える。

敵は一回戦から三回戦、四回戦目以降は凛ルートではオリジナルのキャラクター、
ラニルートでは本家やメーカーの他作品からのキャラクターとなっていて面白い。
他にも職員や隠しサーヴァントとして等色々な所に出ているのでメーカーのファンの方は楽しいかと。
私は型月は『F/SN』のテレビ版・劇場版と、『F/ZERO』のテレビ版のみしか知らないけれど楽しめた。

ちなみに敵だとライダー姐さん、緑アーチャー、青ランサーが好き。
ライダー姐さんは特にワカメとの絡みが微笑ましくて凄く良かった。

ヒロインは凛とラニの二人みたいだけれど、ラニじゃ凛と全然釣り合いが取れていないのが気になる。


■音楽
●BGM
良いと思う。
思うけれど、鑑賞モードがないものだから後からは聴けないし、曲名も分からないし、曲数も分からないし……。
知りたかったらサントラ買えやってか?

●ボーカル曲
・OP
「亂世エロイカ」 / ALI PROJECT

オープニングと言うよりはプロモーションムービーっぽいのでオープニングと呼んでいいのか分からないし、一周目に一度聴いたきりなので正直覚えていないけれど、一応アリプロ。
エンディングは確か丹下桜氏が歌っていたのと思うのだけれど、一度しか流れなかったから(多分)覚えていないですスミマセン……鑑賞モードがないから後から確認出来ないしね!


■声優
丹下桜 諏訪部順一 斎藤千和
植田佳奈 真田アサミ 神谷浩史
朴?美 羽多野渉 麦人 野中藍
小林ゆう 伊藤健太郎 東地宏樹
中田譲治 伊藤美紀 下屋則子
真殿光昭 坂本真綾 高乃麗
鳥海浩輔 江川央生 柚木涼香
安井邦彦 神奈延年 水島大宙

豪華声優陣。
でもパートボイスで全体の四、五割程かな。
折角の豪華声優陣が勿体ない。非常に残念。


■CG
グラフィックは3Dがメインで会話中にテキストウインドウ横に立ち絵が表示される。
CGは各サーヴァントに一枚ずつあるのだけれど鑑賞モードがないので見れない……。
3Dの質はたまに顔がアップになる時に違和感を少し感じるくらい。概ねは良いかな。
原画はワダアルコ氏で宝具デザインでhuke氏も参加。


■難度
バトルはそこそこ、バトル以外も選択肢を間違えたら即死とかなので難しいと言えば難しい。
けれど逆に言えば難しいのは一周目だけ。
難易度も選択出来るし、大丈夫でしょう。


■総評
シナリオは微妙だけれどゲーム性は良かった。
やり込み要素もありつつコンプも簡単でいい。
廉価版も出ているので手に入れやすいし、独立した面白さかあり本家を知らなくても楽しめると思うのでオススメ。

★ネタバレ(↓に白文字で書かれています)
アルクェイドかわいかった……
『月姫』のリメイク版が開発されているみたいだし、出たら欲しい……けれど一体いつになることやら。
型月は『F/SN』のアニメ版のリメイクなんてしないで『月姫』をはよ。
もしくは『魔法使いの夜』をボイス付きで移植してほしい。買うから。

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