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夜明け前より瑠璃色な PORTABLE ARIA / 角川書店 (よあけまえよりるりいろな ぽーたぶる) あとりさん [2013年8月15日]

・シナリオ:☆☆☆☆☆
・H度:−
・GAME:☆☆☆
・音楽:☆☆☆☆
・CG:☆☆☆☆
・難度:☆☆☆

・総評:87点



■あらすじ
あなたと一緒ならきっと大丈夫――
会ったことなんてないはずの人の、どこか懐かしいような声。

生まれてからずっと、それよりも前、
ずっとずっと前から、空を見上げればそこにあって、
ネオンの街を、雪原を、さざ波が立つ海を、木々が生い茂る山を、
優しく、冷たく、静かに、明るく、朧に、照らしていた月。

歴史の教科書によると、そこに、大昔に渡った人たちが国を作ったらしい。
そんな国から、お姫様が、うちに、ホームステイしに来るって言ったらどうする?

どこか懐かしいような声で、会ったことなんてないはずの人が言う。
私には、あなたがいるわ――


■シナリオ
有名すぎる程有名な作品なので当然、物凄く期待していたのだけれど――ストーリー・キャラクター・グラフィック・サウンド、どの項目も期待値を遥かに上回る出来で驚かされた。

シナリオに関して言うと、つまらないところが殆どない。
丁寧な言葉と軽妙なテンポで展開していきサクサク進む。
ヒロインは8人でプレイ出来るお話は多いのに全く飽きが来ないのが素晴らしい。

以下、プレイ順に感想を。


●共通
共通はほのぼのした日常生活の描写がメインで初回と二周目以降で微妙に違う。
腹を抱えて笑うような感じではないけれどイベントが多く、個性豊かなキャラクター達の魅力に溢れていて楽しい。

●フィーナ
初回は強制的にフィーナエンドとなる様子。
分割とは言えお話自体はきちんとしており、ここで終わったら消化不足ではあるけれど問題はない。
爽やかで希望が持てるラストの二人が素敵。

●ミア
必ず来る別れを分かっていつつもどんどん惹かれ合う描写も良いし、ミアとフィーナの主従としての絆が感じる描写も良い。
どちらかと言うと後者の方が強く、ミアがフィーナを怒るシーンは特に印象的。
最後のフィーナも素敵。

●翠
正直、翠にも、翠のシナリオにもあまり期待していなかった。
けれど予想外どころか個別の中で一番好きになったシナリオ。
明るい子が重いものを抱えていると言うギャッププラス温かい家族ネタと言う、弱いところを見事突かれたので……。

●麻衣
妹キャラクター鉄板のお話。
さやかに理解して貰おうとするところが山場となっていて、さやかの心情が濃く描写されているのは凄く良いのだけれど、麻衣のお話なのだからさやかと同じくらい麻衣の心情も描写してほしかったな、とも思った。
最後の約束のリボンを飛ばすシーンは凄く良かったけれど。

●さやか
共通や他の個別でも存分に出ている、さやかの家族を大切にしている性格がよく分かるお話。
麻衣編と同様、朝霧家の家庭事情や家族の絆に関して色濃く描写されていたのが非常に良い。
頼れる大黒柱として家を支えているさやかが弱味を見せるシーンは結構、来るものがあった。

●菜月
前半は翠が絡んでのプチ三角関係、後半は菜月の進学に関するお話がメイン。
菜月は凄く萌える良い幼馴染みで、好きだけれど翠が損な役回りなのが残念。
とは言えシナリオは面白く、満足度は個別の中では翠に続いて二番目に高い。

●エステル
地球人と月人の間にある溝が強く描かれているお話。
最初は冷たい……と言うか偏見まみれのエステルが、地球人とか主人公に対して柔らかくなっていく描写が、凄く丁寧でお話に入り込めた。
最後、モーリッツ様が救われるシーンも良い。

●リース
ミア・麻衣・菜月・さやか・翠・エステルを攻略後に解放される。
トゥルーに繋がるお話なので他と比べて短めで消化不良と言うか。
でもリースかわいい。凄く良い。

●夜明け前より瑠璃色な
リースを攻略後に解放されるトゥルールートで初回のフィーナエンドの続き。
流石に物語を締め括るお話だけあって、文句無しにぶっちきりで面白かった。
エンドロールで全てのキャラクターのその後を描かれていたのも珍しく良い。

●おまけ
トゥルーを終えた後に解放されるおまけ。10本収録されていて本編の後日談や補完的なお話から、本筋とは全く関係のない小ネタまで。
エステルの後日談と、スタッフの遊び心を感じるプールのお話がお気に入り。

トゥルーで終わりかと思えば更におまけがあると言う二段構えの姿勢……嫌いじゃない。


■シナリオ(総評)
名作だと高く評価されているだけあって、最初から最後までとても面白かった。
ファンタジー要素があり後半は強いので、苦手な人もいると思うけれど、是非。
王道なお話が好きな人は絶対、ハマると思うし


■キャラクター
攻略出来るヒロインは8人で、皆個性的かつ魅力的。
特にお気に入りなのがフィーナとリース。好きです。
リースは後半活躍するけれど、全体的に見て出番がかなり少ないのが残念。

主人公はあまり好かれていないようだけれど……基本的には真面目で誠実。
確かに子供っぽいなあと思う場面は多々あるけれど、気にする程ではない。


■H度
あまりないと思う。
うん、ない。全然。


■GAME
この前にプレイした『77〜beyond the Milky Way〜』とクロックモード・システムボイス・壁紙がない以外は殆ど一緒。
なので、システムに関してはそちらのレビューを見て頂けたら。


■音楽
●BGM
曲数は47曲で澄んだ音色の落ち着いた曲が多い。
『SKIP HEART!』『Home, Sweet Home』『セピアポートレート』が特に印象に残っていて、お気に入り。
ヒロインに専用テーマ曲があるのはやはり良い。

●ボーカル曲
・OP1
「Eternal Destiny」 / 榊原ゆい

・OP2
「brilliant azure」 / ちっち

・挿入歌1
「下弦の月 〜生まれ出づる明日〜」 / ちっち

・挿入歌2
「WAX&WANE」 / 手塚まき

・イメージテーマ
「Lapis Lazuli」 / 泉伶

皆、作品の雰囲気に合った神秘的で幻想的な歌。
「Eternal Destiny」「Lapis Lazuli」が特に好き。


■声優
生天目仁美 野々瀬ミオ
後藤麻衣 氷青 黒河奈美
伊藤静 高野直子 結本ミチル
浅川悠 小西克幸 秋元羊介
中田譲治 広瀬正志

豪華声優陣。
今回のMVPは生天目仁美氏。
役柄に抜群に合っていたし、歌も上手いので。
あとは御前。いつ聞いても、耳が幸せになる。


■CG
絵師はべっかんこう氏。
安定感のある綺麗な絵。目立った崩れもなし。
のうみそホエホエ氏のSD画も差分以上にピコピコ動くのでかわいらしく見ていて和む。

観賞モードで見られる絵は192枚。
CGが130枚(内SD画が16枚)、立ち絵が62枚。
立ち絵まで見られるとは……是非他のメーカーもそうしてほしい。

個人的にCGより立ち絵の方が好き。
8年前の作品とは思えない程に差分が多く、演出が細かい。
テキストウインドウの横に顔グラが表示されるのは嬉しい。
口パクもあるし、演出面はかなり。


■難度
ごく普通の選択式。
数はそこそこだけれど【お助けナビ】機能をオンにすれば楽に進められる。

攻略縛りは結構で【フィーナ】→【ミア・麻衣・菜月・さやか・翠・エステル】→【リース】→【夜明け前より瑠璃色な】と言う風に固定。
間の6人の順番は自由だけれど翠は菜月の後にした方がいいかな……多分。


■総評
何と言うか凄く優等生な作品である。
中古でも値が張るのが難点だけれど、お値段以上の内容が詰まっている。
まだやっていない人はやりましょう。是非!

★ネタバレ(↓に白文字で書かれています)
プレイ前は正直、けよりなと言えばキャベツの印象があったのだけど……当然、ゲーム版にそんなシーンはなかったよね。

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