・シナリオ:☆☆☆☆☆・H度:−・GAME:☆☆☆・音楽:☆☆☆☆・CG:☆☆☆☆・難度:☆☆☆・総評:85点「雫」、「痕」に続くビジュアルノベルシリーズ第三弾。前の二作とは打って変わり、ほのぼのとした学園純愛ストーリーである。PC版の爆発的人気に支えられて、移植された。ギャルゲー=18禁目的というイメージが払拭され、純粋にシナリオ展開で勝負するという、いわゆる泣きゲーの先駆者となった作品だと自分では捉えている。この「To Heart」を皮切りに、後の泣きゲーブランドの台頭が始まったのではないだろうか。シナリオは高校生の視点で進められる。幼なじみや悪友との何気ない会話、試験勉強に四苦八苦する日々、新学年に期待を込める春、そして周囲を取り巻く少女たちとの出会い、恋……。今でのギャルゲーの王道的な要素を完成させた丁寧な出来である。しかし決して色あせることは無い。当たり前の物語の中には、涙腺のツボがしきつめられている。PS版では各種ミニゲームをプレイすることもできる。BGMはほのぼのとした音色で物語を盛り上げる。ヒロインのテーマ「彼女の横顔」はすっきりとした五月晴れを連想させてくれる。主題歌「Feeling Heart」挿入歌「それぞれの未来へ…」共にシナリオと密接に関わる曲作りが成されている。CGはPC版より改善されているが、割と好みで評価が分かれるところか。このゲームからギャルゲーを知った人も少なくないのではないだろうか。もう戻れない青春時代を描いたこの作品、プレイする年齢によって感じ方が変化するだろう。