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シュガーリィ ウィッシュ -Limited- HOOKSOFT / GN software (しゅがーりぃ うぃっしゅ りみてっど) あとりさん [2013年11月30日]

・シナリオ:☆☆☆
・H度:−
・GAME:☆
・音楽:☆☆☆☆
・CG:☆☆☆
・難度:☆

・総評:79点



■あらすじ
物語の舞台は、古くからの伝統を誇る名門私立“聖陽学園”。
主人公・白咲純平は、学力や体力は人並みでごく普通の男子だけれど、正義感が強くて面倒見がよく、人の気持ちがわかるなかなかいいヤツ。

2年生になって迎えた新学期。
妹が入学してきたり、男子寮の寮長になったりと、それまでの環境がちょっとずつ変化していく。
そんな中で気づけばまわりには、恋にあこがれる素敵な女の子たちがいっぱいだった!

純情可憐な女の子たち、男女交際の経験は全然ないんだけど……
でもそこはやっぱりお年頃♪
いつか(早く?)こんな恋がしてみたい!
みんな自分だけの理想の恋愛のカタチを胸に抱いてる。

それは砂糖菓子みたいに甘〜い妄想かもしれないけれど、もしそんな乙女のユメを叶えてあげられたら――


■シナリオ
初めに言おう……イチャラブは正義であると。

見るからにキャラクターの魅力のみで勝負しているタイプの作品なので、シナリオには全く期待せず絵だけで購入を決めたのだけれど、
始めてみると全然悪くはなく、寧ろ良かった。

テキストは凝っておらずライトであっさりしている為サラサラ読める。
人によっては物足りなく感じるかもしれないけれども個人的には良し。

シナリオも特に凝っている訳ではなくベタなもの。
ただ個別には一人一人コンセプトがあるみたいで、そのコンセプトの通りのお話となっているか、コンセプトとは無関係となってしまっているか個別差がある。

そして独自の新システムらしい「ガーリートーキング」。
所々に入るヒロイン視点での語りで全然目新しさはない。
とは言え、ただ語るだけではなく色々と演出があるので、一応他の作品との差別化は出来るかな?
これを活かせているかも個別によって差があって問題点。


●共通
ひなと杏奈が起点の騒動によるコメディで、退屈とまでは言わないけれど起伏がなく眠くなる。
けれどとても短く、すぐ終わる。この平坦さで長かったらうんざりなので今回だけは加点要素。

以下、攻略順に個別の感想をば。

●ひな
“お兄ちゃんとの結婚式”
お話の本筋は決して悪くない……寧ろ良い。
背徳感はあまり無いし、軽い描写ではあるけれど兄妹での恋愛特有の切なくなるシーンもちゃんとあった。
いつもハイテンションでお馬鹿なひなの主人公に対する本気の想いが感じられてひなを好きにもなったし、
【過去の回想】→【告白】の流れと結婚式の下りは涙腺を刺激されたし、ラストも爽やかでいいと思った。

けれど! このお話では……「ガーリートーキング」が物凄く邪魔だ!
ひなが主人公に隠れて何をしているか、分からない方が先が気になって面白いだろうに、殆ど毎夜挟まれる「ガーリートーキング」のせいでモロバレ。
確実に緊張感とテンポを無くしている。

あと、共通で男子寮に何度も侵入して一度主人公に本気で叱られて、ひなも本気で反省して「もう二度としないと約束する」と言ったはずなのに、
個別では忘れたかのように普通にまた何度も侵入して、主人公は一度も注意しない。

おかしくないか……一周目で共通からそのまま入ったのもあり、違和感が強かった。

●胡桃
“王子様からのお誘い”
微妙……残念、あまり楽しめなかった。
理由は明確で胡桃自身が好きじゃない。
元々ツンデレが好きではないのだれど、それだけだと例外もいる。
駄目なのは理不尽な暴力を振るったり我が儘を言う系のツンデレ。
胡桃は暴力は振るわないけれど、後半、理不尽な我が儘が目立ち、
微妙だったかな……見た目は好きなので期待していたのだけれど。

ただ他のお話では特に絡まないひなと、このお話でだけは仲良くなるのは良かった。

●愛
“永遠の誓いのキス”
幼馴染みと言う関係を全面に押し出したお話で、幼馴染み萌えの方には堪らないだろう。
逆に幼馴染みと言う関係を何とも思わない人は、このお話は多分終始つまらないだろう。

幼馴染みと言うだけで無条件に贔屓する程ではないけれど、それなりに好きな私はまあ、楽しめた。
やはり幼馴染みはおっとり系に限る。
でもひなの個別を先にやっていると、前半のひなの行動に胸が痛む……

●朱音
“100万回目のプロポーズ”
序盤は微妙かと思っていたら、恋人同士になってからは凄く良かった。
兎に角、朱音がかわいすぎる。個別に入るまでどうとも思っていなかったし、
プレイを終えた今も共通や他のルートの朱音はどうとも思わないのだけれど、
個別の朱音は本当にかわいすぎてかわいすぎて。

●杏奈
“眠れる森の魔女”
朱音編と似たような感想になってしまうけれど、普段は飄々としている杏奈が主人公に惚れて、どんどん乙女になっていく様子がかわいすぎてかわいすぎて。
最も「ガーリートーキング」が活かされている。

ただ、終盤の展開はやや強引と言うか、コンセプトを守る為なのだろうけれども「……?」となった。

●ロマンティックモード
各ヒロイン攻略後に解放されるアフター。五分程のおまけ。

●おまけストーリー
サブキャラクターであるシスター・サラのお話。
とても短く、恋愛になる一歩前で終わるおまけ。


■シナリオ(総評)
思いの外良かった……コンセプトとか「ガーリートーキング」とか、一部微妙な部分もあるけれど及第点。
この前にプレイしたのが『黄昏のシンセミア』でお話が難しくじっくり文章を読ませるタイプだったので、
頭を空っぽにして読めるのは楽で良かった。
いい感じにリフレッシュ出来たので嬉しい。


■キャラクター
テンプレから抜けない者もいるけれど、概ねちゃんと魅力がある。
プレイ前とプレイ後で大分変わったし。

プレイ前
胡桃>>杏奈>>>>>愛・ひな・朱音(ノーマーク)

プレイ後
杏奈>ひな>>朱音・愛>>>>胡桃

と言う感じか。
杏奈は全編で、ひなと朱音と愛は個別で。
胡桃は期待していただけに落差がね……。
でも、ひなも結構好き嫌いが分かれそう。

サブキャラクターも良いが出番は少なめ。
教師陣とかかなり個性的なのでもっと出番や絡みが欲しかったところ。
「変わった学園」と言うアピール程度にしか扱われていないのが残念。


■H度
皆無! と言う訳でもないけれども薄め。
たぶ18禁の原作版からして薄いのだろう。


■GAME
コンフィグは揃っていて快適で文句の付け所なし。
タイトルコール・システムボイスがあるのも良し、スクショも保存時の読み込みが早い。

特に良いと思ったのがスタート画面をヒロイン仕様に変えられること。珍しいし凄く楽しい。
あと十字キーだけでなくアナログパッドでも文字送り出来るのは便利。標準搭載してほしい。


■音楽
●BGM
全23曲と数は少なめだけれど地味に良い。
作風にマッチしていてなかなか心地好い。
ヒロインの専用テーマ曲にさりげなくヒロインの名前が入っているのが良い。

●ボーカル曲
・OP
「恋のレシピ」 / 真理絵

・挿入歌
「いつかここで」 / Rita

オープニングはファンシーかつアップテンポな曲で、挿入歌はしっとりした曲。
どちらも良い曲だけれど挿入歌があってエンディング曲がないのは何故なのか。


■声優
有栖川みや美 青葉りんご 青山ゆかり
五行なずな かわしまりの
民安ともえ 真中海 夏野こおり
桜川未央 飯島肇 城樹翔

メインだけではなくサブにも良い声優さんを起用している。
例えサブで出番が少なくともこおちゃんがいるだけで幸せ。
サブはキャラクターの立ち具合もあって皆無問題。グッド。

メインはなずな氏とまりの氏は非常に良い。
特になずな氏は今作のMVP。凄く良かった。
みやびんも台詞の読み方に若干の違和感を覚えなくもないけれど決して悪くはない。

問題はりんごりんと青山氏。
青山氏は胡桃の幼い容姿とは合っていない。
りんごりんはキンキンとしたハイトーンボイスで長時間聴いていると疲れてしまう。
ひなと言うキャラクターにはマッチしているのだけれど好き嫌いが分かれるだろう。

あと「ガーリートーキング」で主人公のことを考える時、男っぽい声を出す人もいれば、男声の演技なんて全くする気のない人もいて色々面白かった。


■CG
絵師はメインでらっこ氏と桜はんぺん氏、サブで真海氏。
立ち絵は崩れもなく綺麗で差分・演出もそこそこなので、立ち絵には文句はなし。

CGは結構不安定。
崩れておらずかわいい絵もあれば、一瞬本気で「え?」と思う程別人な絵もある。
個別シナリオの中盤から出てくる絵が特に崩れていて残念な印象。
ぱっと見のかわいさが優先で技術が足りないのはお約束だけれど。
ただ、しっとりとした塗りは好み。

枚数も一人きっかり12枚ずつで全60枚と少なめ。
また複数のキャラクターが描かれている絵が全然ない。
寮生活なのだから一枚くらい集合絵が欲しかった……。


■難度
ヒロインのいる場所を選択するタイプで、個別に入ったら一本道なので簡単。攻略サイトも不必要かと。

攻略縛りもないけれどひなが好きなら愛の後に回すといいかも。
あと杏奈や朱音を先にしてしまうと他シナリオにガッカリする。


■総評
気楽に出来る良質なキャラ萌えゲー。
シナリオゲーの後の息抜きには最適。
やはりイチャラブは正義と言うことだ。そうだそうだ。
プレイ前は正直ナメていたので面白かったです、はい。

★ネタバレ(↓に白文字で書かれています)
プレイ中はずっと杏奈かわええとばかり思っていた気がするけれど、
プレイを終えたら一番印象に残っているのはひなだと言う不思議……

同じスタッフが作ったもう一つの作品も移植されるらしいと聞いて惹かれていたり、割と気に入ってるのかも?

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