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さかあがりハリケーン Portable 戯画 / Alchemist (さかあがりはりけーん ぽーたぶる) あとりさん [2013年9月13日]

・シナリオ:☆☆☆☆
・H度:−
・GAME:☆
・音楽:☆☆☆☆
・CG:☆☆☆☆☆
・難度:☆

・総評:83点



■あらすじ
その行動力で、周囲を巻き込んで状況を一変させることから、
『台風』と呼ばれる問題児、主人公・皆川巧。

彼は数々の問題行動から、山奥にある神道学科の学園を追放され、
地元の武月学園に、幼なじみのゆかりの監視付きで編入することになった。
そして彼は、下見に行った放課後の教室で、ひとりの女生徒と出会う。

後日、正式に学園に編入した巧。
そこで待っていたのは、ありがちな例の彼女との再会と、
『クラス委員長』というおおよそ巧みには相応しくない役職、
そして生徒の意見や要望を聞き入れる、クラスの目安箱の管理だった。

誰も手を付けなかったその目安箱を、
持ち前の行動力と面白がりの性格で次々とこなし、徐々に周囲に変化を与えていく巧。
そんな彼を待っていたのは、漠然とした、でも彼の好奇心をくすぐる、目安箱に新たに入れられた、
ある一つの『お願い』だった。

それを機に、退屈だった学園生活は、
少しずつ変化へ向けて動き出していく――。


■シナリオ
『この青空に約束を―』をプレイして以降ずっと、気になっていた作品ではあったのだけれど、プレイ前は正直、不安の方が大きかった。

私は購入前に必ずその作品の評価を見るのだけど、どのレビューサイトにも
「テキストが丸戸史明のコピーのよう」
「共通までがピークで個別は薄く短い」
等と書かれていたもので期待が3割、不安が7割という状態でプレイし始めた。

けれど、いざ始めてみたら……面白い、面白いじゃないかっ!

文章とか演出とかは確かに似ていて『この青空に約束を―』を彷彿させる。
『この青空に約束を―』は名作の名に恥じない素晴らしい作品であったし、敵うはずはない。

けれど『さかあがりハリケーン』も負けていない。
個性的なキャラクター達を上手に動かし絡ませて、ライトな文章とノリでテンポ良く、サクサクと展開していく。


●共通
共通は学園祭の開催が認められるように奮闘するドタバタコメディ。
凡そ10時間と長めだけれど、非常にテンポが良いので中弛みがない。
なかなかにご都合主義ではあるものの本当に終始楽しく面白かった。

以下、個別の感想を攻略順に。

●柚
プレイを終えて考えてみると、このお話が一番地味だったような気がする。
山場はあるものの印象は弱く、柚自身にしか見所がないかもしれないお話。
悪くはなかったのだけれども。比較的恋愛色は濃いし。

●ハル
予想外に良いお話だった……、と言うのが素直な感想。
お話自体は結構重い気がするけれどもハルの性格的に、暗くならずに終わったのは良い。
ハルが良い子すぎて辛い。

●凛
私が弱い家族ネタで凄く良かった……と言うかヤスと親父がいい人すぎて泣いた。
他の個別ではかなり短めな学園祭の描写もこのお話ではちゃんと描かれているし。
ライブシーンが途中からムービーだったり、EDが特別仕様だったりするのも良い。

●涼
涼とゆかりの関係がメインとなるお話。
涼自身は良いキャラクターだし面白い。
ただ恋愛描写が適当と言うか雑と言うか……くっつくのが唐突すぎて。
基本恋愛描写は薄めだけれど、このお話は特に際立っていた気がする。

●ゆかり
涼のシナリオでは完全にゆかりとの関係がメインなのに対し、此方は割とそうでもない。
けれど終盤の山場では重要なのに、過去がダイジェストみたいに説明が短くて中途半端。
涼を先に攻略していないと意味不明……とまではいかずとも楽しめないと思う。
お話自体は普通。

●奈都希
流石メインヒロインだけあって一番バランスが良く面白かったお話。
理事長との和解も良かったけれど、奈都希のデレが強烈すぎる……。
ツンデレにグッと来たこととか殆どなかったけれど奈都希はヤバい。


■シナリオ(総評)
個別に関して言えることは、凛編以外学園祭の描写があっさり過ぎる。
学園祭の開催が決まるまでが共通で、共通の終盤の盛り上がりは凄かったから個別での学園祭本番の描写にズコーっとなり、尻すぼみと言われているのも分かる。
学園祭の描写をもっとちゃんとしてほしかった……本番開催・終了までが共通でも良かったくらい。

とは言え総合的に見ると充分面白い。
満足も出来たし、良い作品だと思う。


■キャラクター
一見地味なようだけれど結構、どのキャラクターも癖があって面白い。
立ち方・動かし方が上手くて皆生き生きしており、愛着がわきやすい。

お気に入りは奈都希と涼とハル。涼とハルは共通からだけれど奈都希は個別で一気にやられた……

主人公は悪くはないけれど別に然程問題児ではないと言うか、周囲が過大評価している感が強い。
共通では頑張っていたけれど個別に入るとすっかり落ち着いてしまった感じがして残念と言うか。

あと恋愛に関しては鈍感なところ。
よくある設定だけれど、この主人公に限っては違和感が半端ない。
多分発揮される場面が妙に不自然なせいだと思うけれど何か微妙。


■H度
全然ない。


■GAME
コンフィグに関してはそこそこで、決して不便ではないレベルに揃っている。
システムボイスがあるのは良いけれど、攻略しないと解放されないのは微妙。


■音楽
●BGM
曲数は23曲。少ない……けれど質は中の上。
『風が凪ぐ頃』『寄り添う影』『経・スカパラダイスオーケストラ』とか割と好き。

●ボーカル曲
・OP1
「pile up HURRICANE!」 / 中川春菜

・OP2
「恋のRock'nRoll Beat」 / 綺羅凛(CV:加藤英美里)

・ED1
「明日へ踏み出す僕らの詩」 / 片霧烈火

・ED2(凛編ED)
「愛はこんな光」 / 綺羅凛(CV:加藤英美里)

OPが凄く良い。両方素晴らしい。
OPが目当てで買ったくらい好き。
EDは普通。


■声優
伊野美由紀 風音 遠山枝里子
花坂紅葉 涼宮琉那 加藤英美里
星光明 戸沼ゆず 水無月ふたご
夢楽咲 佐藤春男 野々村紗夜

声優に関しての感想はネタバレ欄で。


■CG
絵師はねこにゃん氏。
幼さを感じる丸っこい絵と淡い塗りが素敵。
目立った崩れもなく、安定感があって良い。

立ち絵の表情差分が多い作品はよくあるけれど、ここまでポーズの数が多いのは初めてかも。
各ヒロイン3ポーズずつは多い。奈都希とか4つもあるし。
夏服と冬服の両方の絵があると言うのも珍しいし嬉しい。
一つの台詞中に切り替わったり揺れたりするのもあって、立ち絵のかわいらしさが半端ない。

CGも良いけれど、全部で65枚と数が少ない。


■難度
選択肢ではなくマップ選択式。
選択肢よりマップの方が楽だし楽しくて好きなので良いのだけれど、
【最後の選択肢】【共通】【共通】【個別】と言う風になっていて、
最後の選択から個別に入るまでが長くて毎回スキップするのが面倒。
『てとてトライオン!』とかみたいに決定打となる選択肢→すぐ個別なら楽なのだけれども。

攻略縛りはなし。
けれど凛を二周目以降、ゆかりは涼の後にするのを推奨。
後者は推奨と言うか絶対だけれど……じゃないとゆかりのシナリオが意味不明。


■総評
何だかんだで凄く面白かった。
プレイ前の不安が嘘のように。
ご都合主義とか気にならずにライトな学園ラブコメをやりたい人なら普通に楽しめると思う。

★ネタバレ(↓に白文字で書かれています)
コンシューマー版でも名義が変わらない作品って出演している声優さん次第では不自然になると思った。
涼とハルって、どう聴いてもミンゴスとミズハスやないかーい

柚は紛れもなく夏野さん家のこおちゃんだし……と言うか『この青空に約束を―』と名義が一緒なので此方は分かっていたけれど。
思えばあれが初こおちゃんで、ガッチリ心掴まれてずっと離されていない訳だ。
こおちゃん最高。

そして奈都希の声優さん。
たかはし智秋だったとは。
『アイドルマスター』の役しか知らなかったこともあるけれど驚き。
『てとてトライオン!』の鳩子先輩とも一緒だったとはビックリよ。
声優さんってすげー……

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