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死神の接吻は別離の味 ALcotシトラス (しにがみのせっぷんはべつりのあじ) 真風さん [2009年5月24日]

・シナリオ:☆☆☆
・H度:☆☆☆
・GAME:☆
・音楽:☆☆☆
・CG:☆☆☆☆
・難度:☆

・総評:75点



■あらすじ
ある約束を交わした幼い少年と少女がいた。
だが不慮の事故により、互いの想いを言葉にすることなく死別してしまう。

10年余の歳月を経たある日、誠はひとりの不思議な少女と出逢う。
彼女は死神であり、その存在を視認出来るのは即ち、自らの死期が迫っていること。
ところが事実を前にして尚、主人公は取り乱す様子もなく、運命を受け入れようとする。
何故なら、過去の初恋の幼馴染との死別が生への執着心を失い、自らを責め続けていたのだった。

■シナリオ
おるごぅる氏の最終作ということではあるが、あくまで公平に評価をすると全体的にシナリオが短い。
ヒロインはほのか・雫・死神と3人いるが総合でも7時間程度もあればフルコンプしてしまう。
肉付けが足りないと見るか、余計な水増しがなくて加点要素とするかはそれぞれに任せるとして。

掛合いはライターの持ち味が出ていて、好感が持てる。
ヒロインの独特の言い回しやキャラの表現も魅力的に形成されている。
ただし、個別ルートは全くダメダメとまでは言わないものの、疑問符の残ってしまう。
こじんまりとしており、大凡に設定から想定出来る範囲の展開であるが如何せん、組立てが足りず。

ほのかは自身の恋愛感情と相反する、プチヤンデレ設定が争点だが然程、突き抜けることもない「彼女と生きるという生への執着」を見つけ、大団円に納まる。

雫はツンデレ義妹ヒロインとしての地位と魅力を確立しているものの、シナリオがあまりに短い。
優しい言葉をかけ、見守ってくれたあの日から……雫はキュンキュンみたいな、これまたよくある設定。
ただ、雫から兄へのアプローチや言い回しが非常に上手いことと「雫と生きたいという生への執着」を宣言し、過去の呪縛からの成長にはなかなか瞠るものもある。

そしてクーデレな死神。
過去の呪縛を鍵に死別してしまった日和と主人公との真相と琥珀(死神)の設定・真相。
琥珀シナリオも真相こそ、格別に目を瞠ったものでもないが丁寧に描かれているのでまあまあ、悪くない。
ただ、最期の真相にユーザー任せの想像余地を残して、身も蓋もなく言えば、夢落ちなのはどうか。

題材をそこそこ、上手く組立ててはいるが流れ的に不自然な急展開があったりする気はする。

■H
・ほのか→3
・雫  →3
・琥珀 →3

おるごぅる氏にしては変態紳士分が足りない。
随所に片鱗は見えるものの、作品コンセプト的に抑えているのか若干、弱い感じがする。
ただ、普通よりはまあまあ、濃い目とまでは言わないがそこそこではある。

■GAME
ノーコメント。特筆することはない

■音楽
曲数1でBGMも15と少ないが、空気に合わせた曲ではある。
ボーカル曲はRita。
「Le baiser de l’ange-天使のくちづけ-」

声優。
ほのか→鮎川ひなた
雫→五行なずな
死神→夏野こおり

■CG
全46枚と少ないがミドルプライスな為、許容範囲……にしても少ないが。
エロCGは3ヒロイン×3枚ずつ。
原画の風見春樹氏は昔のものを見ると、上手くなったと思う原画になっている。
枚数は少ないが安定している。

■難度
選択肢はあるようでないので考慮に当たらず。
琥珀のみ、他2人を攻略後に解放される。

■総評
作品自体の質は凡作レベル。
ボリュームは少ないがミドルプライスなことと作品題材のまとめ方を考えるとそこそこに満足できる。
個別ルートの残念さを補って尚、おるごぅる氏の随所に伺える言い回しや良さが非常に惜しい。

引退宣言は出てしまっているが、いつでも再び業界でシナリオを執筆してほしい。

★ネタバレ(↓に白文字で書かれています)
本当はというか題材的にはヤンデレが好きだけれども、雫はいいな。
「私はお兄ちゃんを彼氏にしたいの。わかる?」
「私が日和さんを忘れさ(ry」
「やっぱり恥ずかしいから言わないっ♪」

そして至言。
「お兄ちゃんのベッドは私のセーブポイント」

至高の妹の1人、うちの義妹のばあいの優香を彷彿とさせる、なかなかの破壊力だったぜ…

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