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ひまわり -Pebble in the Sky- Portable ぶらんくのーと / 角川書店 (ひまわり ぺぶる いん ざ すかい ぽーたぶる) あとりさん [2012年11月19日]

・シナリオ:☆☆☆☆
・H度:−
・GAME:☆☆☆
・音楽:☆☆☆☆☆
・CG:☆☆☆
・難度:☆☆☆

・総評:88点



 
高校の部活で月を目指している
 ――と言ったら、笑われるだろうか?


■あらすじ
2048年、人類の夢を運ぶべく開発された高々度旅客機が墜落し、多くの犠牲者が出た。
同時に英雄的宇宙飛行士・雨宮大吾を死亡事故で失い、この事件以降、宇宙開発は停滞期に突入することとなる。

2年後の2050年、墜落事故の唯一の生存者である日向陽一は高校生となるも、事故のショックで事故以前の記憶を失っていた。

雨宮大吾の息子である雨宮銀河と共に「宇宙部」を結成し、ロケットを作る毎日を送っていたが、そんなある日の夜、陽一の前に空から謎の少女・アリエスが落ちてくる。
アリエスもまた、墜落のショックで記憶を失っていた。

アリエスを他人とは思えない陽一は彼女を匿い、二人で生活を始めることとなるが……


■シナリオ
私の中でSF作品と言えば、「緊迫感のある科学的要素と大きなトリック」と言う印象で、「空から降ってきたかわいい女の子と同棲!」と言うありがちな導入に序盤のほのぼのとした雰囲気、淡い絵のタッチから「このゲームにそれはあるのか?」と思っていたのが見事、裏切られた。

穏やかな日常生活の裏には宇宙規模の壮大な物語があり、その物語を伏線を最初からふんだんに貼り、ゆっくり……けれど確実に広げられていく訳だけれどその過程がかなり、丁寧ですんなりと話に入り込める。

過去編とアクア編は結構、重いけれど、クスリと笑えるギャグを交えながらなので重苦しくなりすぎず、助長な感じもないのでサクサクと進められる。


▼共通ルート
共通は終始、アリエス・アクア・明香・銀河とのほのぼのとした日常で、ギャグメインで進んでいくドタバタ生活。
話の都合上、伏線の関係上で、一周目と二周目と三周目でちょっと、違うところがあったりするのは周回プレイをする上で、退屈しないのでいい。

▼アリエス編
一番最初にプレイ出来るルート。いわば、プロローグで伏線は貼られるけれど回収はされず、スッキリしない終わり。
終盤まではずっと共通と雰囲気が変わらないし、この話だけでは決して、面白いと言えないと思う

▼2048年編(Restart編)
アリエス編終了後、解放されるアクア視点の過去編。
ここからが本番で、旅客機の墜落事故が起こった2048年の出来事が描かれる。
ここでも伏線を貼り、真実は伏せられているのにアリエス編と比べて、全くそうと感じさせない面白さがある。
ただ、次に繋げる為とは言え、エンディングが辛いバッドエンドなのが悲しい

▼アクア編
過去編終了後、解放される。
今までに貼られた伏線が一気に回収されるルートでこの話が一番、クオリティーも熱中度も高いと思う。
過去編でボロボロだったアクアが漸く幸せになれると言う、感慨も大きい

▼明香編
アクア編終了後解放される。
過去編&アクア編のクオリティーがあまりにも高く、このルートには、伏線回収と言う見せ場がないのでいい話だけれど少し、見劣りするかも。
単体としての出来は当然いいし、ラストを締め括るに相応しい話だとは思うけども

▼Tips
本編を進めていくうちに解放される、裏ヒロイン・アオイと陽一のお話。
全36話でボタンを数十回くらい押せば終わるようなショートストーリー。
序盤はアオイと陽一のやり取りに和めたけれど、進めていくうちにシリアスかつ結構、キツい展開に……
最終話は少し、長め

▼AnotherSide
・こもれび
学生時代の明たちを中心としたストーリーで、主人公は本編でも少し描写がある東条紅葉。
本編の補完かと思いきや、次々と新しい設定が出て来て、う〜んと言う感じ
話自体はそれなりだけども

・かげろう
「こもれび」の続編で一気に10年が経過していて、時系列はアクア編のテロリスト事件の直後となる。主人公は島崎道行。
ご都合主義ではあるけれど、「こもれび」でかなり広げていた伏線をきっちり回収したことと、終盤の畳みかける展開でまあ、それなりの出来と言えるかと
しかし、まさかミステリーとは……

▼2048-2050
明香視点での時間の流れ。30分程度で終わるおまけ。


■シナリオ評価まとめ
文句なしの良作。元は同人ゲームだろうとナメてたけれど、普通以上に面白かった。
ただ、一部消化不良と言うかモヤっとする部分もあったのが引っかかる。
まあ、プレイ後におまけもあるし、気にしない。


■キャラクター
優遇度具合からして、アクアゲーとか呼ばれそうなくらいアクアがかなり、目立つ。
と言うか間違いなくヒロイン中頭一つ抜けているけれど皆、魅力的である。
銀河や大吾や明等、男共も結構、いいし

しかし、皆シナリオありきのキャラクターなので手放しで評価出来る人が少ないなあとも思う
実際、あんまり書くこと思い付かない……


■H度
一応、アリエスとの事後描写があるけど、エッチっぽい感じは全くない。


■GAME
システム面は非常に充実していて、文句の付け所はない。
スキップも早いし、ボイスハイライト・ショートカットは特に、他のゲームも標準装備してほしいと思う。
用語解説も、遊び心があって面白い。


■音楽

▼BGM
曲数は70曲以上と多く、一曲一曲のクオリティーが高く凄くいい。
明るい日常曲から、感傷的な気分になるしっとり系、ワクワクするアップテンポな曲、ハラハラするミステリーな曲と、どれを取っても素晴らしい。
特にお気に入りなのが「偉大なる一歩」。

▼ボーカル曲
・OP曲
「gleaming sky」 / eufonius

・ED曲
「向日葵」 / 茶太

共にしっとり系の良曲。
アリエス編・アクア編のEDはメロディーとエンドロールのみで、向日葵は明香編でしか流れない。
世界観にばっちり合っているし、映像もいいのに少し、もったいない気がする


■声優
野中藍 田村ゆかり 川澄綾子
柚木涼香 福圓美里 高橋美佳子

保志総一朗 小西克幸 藤原啓治
真殿光昭 江原正士 秋元羊介

豪華声優陣。
川澄綾子と柚木涼香が好きだけど今回は、田村ゆかりの演技に魅せられた感がある。
中堅〜ベテラン揃いなだけあって、全員、演技力が高くて安心して聞いていられる。


■CG
絵師はたつきち氏。
立ち絵は特に崩れもなく綺麗だけども、CGには結構、崩れがある。構図や身体のバランスがおかしかったり。
まあ、許容範囲ではある……か?

枚数は、本編のCGが差分抜きで59枚、外伝のCGが10枚、おまけのパッケージイラスト等が8枚程。
本編のCGは差分を含めるともう少し増える。
プレイ中は感じなかったけれど、数えてみるとかなり少ない。


■難度
選択肢の数は普通だけども、バッドエンドが非常に多く、油断したら即、バッドエンド。
選択肢自体は分かりやすく、間違えても前の選択肢に戻ることが出来るし、攻略順も固定なのでまあ、心配することはないとは思うけども


■総評
かなりレベルの高い良作。
PSPを持っているなら、是非! と、自信を持ってオススメ出来る作品。


★ネタバレ(↓に白文字で書かれています)
秋桜は一体、何者なのか?
最後のあの意味深な台詞が気になる……う〜ん……

あと、アクアアフターもコンシューマー移植してくれないかしらん
絶対買うのになあ

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