ぶっちゃけた話、恋愛AVGとしてこの作品を捉えるのであれば、評価はかなり低いのかもしれません。私自身、2年程前に初めてプレイしたときは、シュールなギャグや物足りない各種シナリオに失望していました。 ただ、改めてプレイしてみて思うことは、純粋なノベルゲームとしてのレベルは評価できるということです。そしてそれはメモオフシリーズの全てに共通することです。つまり、恋愛模様や人間関係の描写に焦点を当てるのではなく、もっと大きな視点から物語を見渡したときに他の作品では味わえない快感があるということです。 そしてその役割を担うのは音楽です。メモオフには、「With memories(2nd)」や「Each and every heart(1st)」など良質の音楽がありますが、今作の「Ride on bicycle(Piano arrange)」は特別なものです。というのはこの音楽がテーマ曲であるのと、そうでないのとでは作品全体のイメージや主題が全く違うものになるからです。 何か辛いことがあったときや日常に生かさせられていると感じるときに初めて、この物語世界のかけがえのなさに心動かされることでしょう。